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2008年07月02日(Wednesday) 蛍狩り (豊田市稲武地区)と文学つれづれ [長年日記]
_ 蛍狩り (豊田市稲武地区)と文学つれづれ
以前このブログでも紹介したが、「稲武ほたる保存会」主催による蛍観賞会が先週末あったので、行ってきた。
梅雨時とあって、当日は雨。国道沿いに車を停め、傘をさし、懐中電灯の灯りのみを頼りに山道を登ること5分。
前方に仄かな黄緑色の灯りが、ちらちらと揺らめくのが見える。
期待に胸を膨らませ、舗装もされていない坂道を上り詰めると、そこが蛍の育成地だった。
広さはどうだろう…。多分一辺が20mぐらいだろうか?
休耕田になった棚田を利用したのだろう。高い位置にある道から、無数の蛍の乱舞を俯瞰する仕掛けとなっている。
…ほうっ…、ほうっ…
あちらこちらで、灯りがついては、また夜の闇へと吸い込まれてゆく…。
その光景を、儚いと言う人いるだろうし、妖しいと表現する人もいるかもしれない…。
……古来より蛍は日本人には馴染みの深い昆虫で、数々の文学の題材に取り上げられてきた。
情熱的な和歌を詠ませたら、この人の右に出る者はいない!と評される、平安時代の女流歌人、和泉式部は以下のような傑作を詠んでいる。
「物思へば 沢の蛍もわが身より あくがれいづる魂かとぞ見る」後拾遺集
源氏物語では、光源氏は養女の玉鬘(タマカツラと読む。蓬莱泉「玉桂」と何か関係ある!?)に好意を寄せる弟、兵部卿宮(ひょうぶのきょうみや)が来訪すると、御簾(みす)の中に蛍を放つ。
その灯りに照らし出された、玉鬘の美貌を垣間見、益々恋心を募らせる兵部卿宮。その様子を蔭からほくそ笑む、いささか悪趣味の光源氏…。こんな話が展開する「蛍」の巻は、文字通り圧巻である。
そして、現代文学の代表作と言えば、宮本輝の「蛍川」。

いわゆる川三部作の一つで、芥川賞を受賞した名作短編。宮本輝はワタシの好きな作家なので、ここで取り上げると長くなりそうなので、それは次なる機会に譲るとして、
この作品、
「滝壺の底に寂寞と舞う微生物の屍のように,はかりしれない沈黙と死臭を孕んで光の澱と化し,天空へ天空へと光彩をぼかしながら冷たい火の粉状になって舞いあがっていた」蛍の大群に、生死を超えた命の輝きをみる主人公、竜夫…。
それは、宮本輝自身の幼き日の姿に他ならない。
というように、蛍がまさに準主役的存在として、小説に豊かな抒情を作り出している(因みに、宮本輝の他の作品では、それが猫だったり、ヤモリだったりする…)。
……、ホント蛍の妖光って、人の心を焚きつける何かがあるわね…。
(Mrs.Pooh)
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